安全JAWSちゃんのハートLetter
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ストレス対処能力「SOC」(その2)

前回、健康社会学者のアーロン・アントノフスキー博士によって提唱された
「SOC」とは「自分の生きている世界は首尾一貫しているという感覚」のこ
とで、SOCは「把握可能感」、「処理可能感」、「有意味感」という3つの感覚で構成されていることをお話ししました。そして、こうした確信の感覚や向き合い方をもつことができている人ほど、ストレス対処能力が高いと説明しました。今回は、この「把握可能感」、「処理可能感」、「有意味感」の具体的な内容について説明したいと思います。

「ストレス対処能力SOC」(山崎喜比古 他、有信堂)によると、「把握可能感」とは「生活を送るなかで出会う様々な出来事について、ある程度予測で
き、その出来事がどのようなものかについて説明できる能力」を指し、「処理
可能感」とは「日々の生活を送るなかで出会う出来事を乗り越えたりやり過ごしたりするときに必要な、自分の周りのモノや人、道具、立場、自分の内面にあるもの、等をタイムリーに引き出せる、というような自信あるいは確信の感覚」を指し、「有意味感」とは「人生や生活を送るなかで出会った出来事に対して、その出来事が自分にとってとても意義があり価値があると見なせる、あるいは、挑戦と見なせる感覚」を指すとしています。

ただ、この説明ではストレスの専門家にはある程度理解できますが、素人にはわかりにくいと思います。それを、現代風にわかりやすく説明しているのが健康社会学者の蛯名玲子氏です。彼女はその著書「ストレス対処力SOCの専門家が教える“折れない心”をつくる3つの方法」でこのSOCの3つの感覚を、わかりやすいように、把握可能感を「わかる感」、処理可能感を「できる感」、有意味感を「やるぞ感」と呼んでいます。

蛯名氏によると、わかる感とは、「自分の置かれている状況を理解できている、または今後の状況がある程度予測できる」と感じられることです。たとえば、 部下に厳しい上司がいたとします。その上司に対して、「今日の会議で上司は きっと、あの点を攻めてくるだろうから、きちんと対応できるようにしておかなくちゃ」と予測できていれば、心の準備もできますし、上司の突いてきそう
な箇所について万全の準備をして会議に臨むことができます。このように、
「自分を苦しめているものの正体を把握したり、予測したりできる」と思える
と、同じことが起きてもショックを受けにくくなるのです。

できる感とは、ストレスをもたらす出来事に対して、自分にはそれを処理するために必要な人やモノ、考え方などがあるから、「なんとかなる」「なんとかやっていける」と感じられることです。たとえば、あなたにとって苦手な上司でも、うまく付き合えている同僚にうまく付き合うコツを教えてもらえたら、
「なんとかなりそう」と思えるでしょう。このように、私たちの周りにある 「自分を助けてくれる存在」に気づくことができれば、「私には助けてくれる人もいるし、きっとなんとかなる」と思いやすくなります。すると、つらいことがあっても追い詰められにくくなるのです。

やるぞ感とは、つらいことや大変なことがあっても、「これは私にとっての挑
戦だ」「これを乗り越えることは人生に必要なことだ」と感じられることです。
たとえば、上司と相性が悪く、不快な思いをしても、「もしこの上司とうまくやっていけたら、今後、どんな人にも対応していけるようになる」と上司とうまく付き合うことに意味を見いだせたら、あきらめずに前に進むことができる
でしょう。

この3つの感覚をそれぞれ高めていけば、仕事や家庭でつらいことや大変なことがあっても「めげない自分」になることができるのです。では、この3つの感覚を高めるためにはどうしたらいいのか・・・それは次回以降でお話ししたいと思います(その3に続く)。

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