安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
ストレス対処能力「SOC」(その4)

健康社会学者の蛯名玲子氏が著書「ストレス対処力SOCの専門家が教える “折れない心”をつくる3つの方法」で紹介しているSOCの3つの感覚、
「わかる感」、「できる感」、「やるぞ感」について、前回は「わかる感」の
高め方についてお話ししました。今回は2つ目の「できる感」の高め方についてお話しします。

「できる感」とは、ストレスをもたらす出来事に対して、自分にはそれを処理
するために必要な人やサービスなどがあるから、「なんとかなる」「なんとか
やっていける」と感じられることです。まず理解していただきたいのは、「で
きる感が高い人」というのは、仕事でつらいことや大変な出来事が起こっても
自分一人の力で何でもできる人のことではなく、「あの人は仕事ができる人だ」と周りから認められている人のことでもないということです。できる感の高い人は仕事でつらいことや大変な出来事が起こって、それを乗り切るときに必要な人やサービスを上手に活用して問題解決ができる人のことを指します。

逆に、自分一人の力で何でもできる人は「仕事ができる人間は他の人やサービスに頼らない」、「他の人やサービスに頼ることは弱い人間がやることだ」と考え、何でも自分一人で出来事を乗り越えようとするため、ストレスを感じる機会が多くなります。これは、頼ることができる人やサービスの存在に気づいていながら、それらに頼ることができないという種類の「できる感の低い人」です。私の経験では、子供のころから自分一人の力だけで勉強してきて、ずっと良い成績と学歴を築いてきた人に見られる傾向として、仕事を進めるための情報を収集するのに膨大な過去の資料を読んだり、ネットで検索したりして、 その中から必要な情報を選択して仕事に利用する人を多く目にします。でも、 そんなことをするより頼れる人に聞く方が仕事は早く進みますし、質のいい仕事ができます。自分一人の力では乗り越えられない出来事が起こったときに、いかに人やサービスに頼ることができるかというのが「できる感」であることを理解して、まずは「頼れる人やサービスをうまく見つける」クセをつけましょう。

次に、過去に人に頼ったことがあるが断られた、または応えてくれなかった経験があり、「人に頼っても応えてくれない」と考えて、頼ることができない人もいます。これも一種の「できる感の低い人」です。こんな人は「頼り方」を
考えてみましょう。過去に頼ったのに応えてくれなかったのは、もしかしたら
頼み方に問題があったのかもしれません。頼むタイミングや言い方が悪かったのか、その人に頼りすぎていないか、頼る前段でしっかりとした人間関係ができていたかなどを今一度考えて、頼り方を変えてみましょう。

最後に、「できる感の低い人」の中には、そもそも頼ることができる人やサー
ビスがあることに気づいていない人がいます。「会社や上司は私を助けてくれ
ない」、「私には困ったときに相談できる友だちがいない」、「誰も信じられ
ないから、自分一人でやらなきゃ」などと考え、仕事でつらいことや大変な出来事が起こっても、人やサービスに頼らずにその出来事を乗り切ろうとするので大きなストレスを感じるのです。このような人は、家族や職場の仲間以外の人との交流を増やす努力をしましょう。昔話ができる学校の同級生や休日に一緒に行動できる趣味やボランティアの仲間、町内会やPTAなどのグチが言い合える地域の仲間との交流を増やすと、その中から自分に起こった出来事を助けてくれる人がきっと見つかると思います。

いずれにしても、できる感を高めるためには人やサービスに頼る経験を積んで、「頼ったらストレスが少なくなった」と実感することが一番です。自分の周りにある人やサービスにどんどん頼るクセをつけましょう。

次回は「やるぞ感」の高め方についてお話しします(その5に続く)。

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