安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
感性と悟性

あなたが小学校の先生になったと仮定してください。理科のテストでこんな
問題を出しました。「氷が溶けたら何になるでしょうか」という問題です。あ
る子供の答案用紙に、こんな答えがありました。「氷が溶けると、春になる」
という答えです。あなたは「×」をつけて返しますか、それとも「○」をつ けてあげますか。

もちろん理科のテストですから、答案上の正解は「水」です。しかし、子供に
とって「氷が溶けると水になる」という科学的な知識を得ることと、「氷が溶
けた暖かな陽射しの中で春が訪れる」という感受性を養うことと、どちらが
大切でしょう。どちらも同じように大切なことではないでしょうか。人間はその両方の考え方をバランスよく活かして、社会で生活しているのです。しかし、現在の学校教育は感覚的で芸術的な考え方である「感性」については
あまり力を入れておらず、科学的で論理的な考え方である「悟性」を伸ばす
ことに傾注しています。今回は、この感性と悟性について考えてみたいと思
います。

感性とは一般的に「外界の刺激に応じて何らかの印象を感じ取るその人の直感的な心の働きであり、その人の持っている感覚器官の感受能力」をいいます。一方、悟性とは「感性とは対比関係にあり、自分の理解した諸事実などに基づいて、論理的に物事を判断する能力」をいいます。感性は「感情」や「情緒」といった人間の本質を表現するものですが、この感性を高めたり、 豊かにすることで、思いやりや気遣いそして感謝といった心が育ちます。それによって、観察力や洞察力も高める効果もありますし、その延長線上に人間性や品格が育ってくるのではないでしょうか。ところが、現在の日本の学校教育は科学的で論理的な考え方の悟性を伸ばす教育が確立している一方で、 感性を伸ばす教育はあまり確立していないのが現状です。

情報化社会になればなるほど、より科学的で理論的に説明が求められる傾向が強く、「立証できなければ認められない」というのが現在の社会のように思えます。しかし、現時点での科学水準では説明できない事象がまだまだ沢山あることも事実です。特に、こころの問題である「感性」に関しては、ほとんど科学的な説明はできない領域であり、たとえば「どのくらい怒ってい
るのか」、「どんなに喜んでいるのか」などを定量化することは不可能でしょう。しかし、人間は毎日「笑ったり、悲しんだり、怒ったり」と感情を表現して生活していますし、科学的に証明されていなくても社会の中で生きていくことに何ら不自由は感じません。むしろ、感情を素直に表現して生きることが本来の人間の姿のように思えます。

悟性が高い人で、有名大学を卒業して有名企業に入社し出世している人でも、人間性や品格に欠ける人はいますし、逆に学歴はなくても、人間性に優れ、品格のある人もいます。これは感性の違いから生じていると思われます。現在の日本の教育方針は、感性よりも悟性を高める教育のほうが優先されていますが、そのような教育方針の中で社会ではどんなことが起こっているのか。
昨年も国会議員や弁護士や教師など、悟性に優れているはずの人たちが言葉で人を傷つけたり、人を困らせる行動をしたりする事件が起こりました。こんなことが続かないよう、国には感性を伸ばすような学校教育を早急に確立していただきたいと思います。

最後にもう1つ、中学校の英語の問題です。
February is the (s ) month of the year.
※ 2月は1年で(    )月です。
( )の中にSで始まる単語を入れなさい。

みなさんなら、どう答えますか?正解はshortest(一番短い)です。Second
(2番目の)と答えた方は頭の中が「悟性優先」になっています。もう少し
「感性優先」で物事を考えてみましょう(終)。

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