安全JAWSちゃんのハートLetter
過去の記事
ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
100円ショップから学ぶこと

私の大学での卒業論文のテーマは「なぜ人はモノを買うか」でした。卒業論
文を書くために、当時のデパートやスーパーがどんな顧客をターゲットに商
品を仕入れて販売しているかなどを調べました。また、私が学生時代に登場した100円ショップについても、実際に店を訪問して品ぞろえなどを調べ
ました。そこで驚いたことがありました。100円ショップに行くと、その駐車場には高級外車が駐車してあったのです。そこで、「高級外車に乗る人がなぜ安い商品を扱う100円ショップで買物をするのか」という大きな疑 問にぶつかりました。そして、人の消費行動は単純ではなく、さまざまな心理的影響を受けながら決定していくものだということに気づきました。私は卒業論文で、そのさまざまな心理的影響について理論づけようとしましたが、 結局できませんでした。それでデパートに就職をして、引き続き勉強をして、 人間の消費行動を理論づけようとしましたが、デパートに20年勤めて、自ら様々な消費行動(買物)もしましたが、大学卒業から30年経った今でも、まだ結論は出ていません。

最近の100円ショップは私が学生時代に通っていたときと違って、品ぞろ
えがとても豊富になってきました。「これが本当に100円?」という激安商品や「これは便利だ!」と思うアイデア商品、どこにも扱っていないような「これが欲しかった!」という「すきま商品」など、顧客のニーズをつかんだ品ぞろえをしています。また、子供から学生、主婦、サラリーマン、会社社長まで、「誰でも気楽に買物できる」という顧客のニーズに応えていますし、コンビニのような「年中無休24時間営業」まではいきませんが、「欲しいときに欲しいものが買える」という顧客のニーズにも応えています。

最近では、日本の100円グッズを海外に持っていき、外国人がどんなグッ
ズに興味を示すのかを取材し、そのグッズを実際に外国人に使ってもらう様
子を放映するテレビ番組なども企画されています。今後、日本の100円シ
ョップは世界でもますます注目されるでしょう。

さて、前置きが長くなりましたが本題に入ります。みなさんは人とのコミュ ニケーションで100円ショップのように相手のニーズに応えていますか。
誰でもできるような表面的なコミュニケーションになっていませんか。自分 の気に入った人とだけのコミュニケーションになっていませんか。自分の好
きな時間だけのコミュニケーションになっていませんか。自分の都合に合わ
せて、自分の利益だけを考えたコミュニケーションでは人間関係はうまくい
きません。もし、100円ショップが店の都合に合わせた品ぞろえをして、 店の利益だけを考えた経営であれば、つまり、どこの店にも置いてあるよう な商品を扱い、特定の人だけをターゲットにした品ぞろえをしていて、店の 都合だけで営業日や営業時間を決めていたら、すぐに店はつぶれてしまうで
しょう。

コミュニケーションも一緒です。相手との良い人間関係を築いていくために
は、相手のニーズに合わせた気持ちのこもったコミュニケーションをすべて
の人に対して、いつでもどこでも提供することが重要です。まずは、相手に
「これが欲しかった」「これは役に立つな」という情報提供をしながら、相手の話をよく聴き、相手の期待に応えることにより、「この人は本当にコミュニケーション上手な人だ」と評価されるようになりましょう。次に、特定の相手だけでなく、すべての人に対して気持ちのこもったコミュニケーショ ンをとることで、「この人はどんな人にも誠意のある態度で接する人だ」と 評価されるようになりましょう。さらに、職場の仲間とは仕事中だけでなく休憩時や就業後でも、家族とは家庭にいるときも遊びに行くときも、どんなときでも笑顔で楽しいコミュニケーションをとることで、「この人は仕事でもプライベートでもどんなときでも人間関係を大切にする人だ」と評価されるようになりましょう。

100円ショップの経営も人とのコミュニケーションも、良い状態を継続していくために大切なのは「いかに相手のニーズに応えるメニューを準備して、
どれだけたくさん提供していくか」です。みなさんも今一度自分のコミュニケーションのメニューを棚卸して、相手のニーズに応える新しいメニューをどんどん提供していくよう努力しましょう(終)。

このページを閉じる