安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
I am OK You are OK

自分や他人に対する基本的なこころの態度には次の4つがあるといわれています。
○I am OK ,You are OK=自分を信じ、他人も信じられる態度
○I am OK ,You are not OK=自分は信じるが、他人は信じられない態度
○I am not OK ,You are OK=自分は信じられないが、他人は信じる態度
○I am not OK ,You are not OK=自分も他人も信じられない態度

人間はお母さんのお腹の中で10ヶ月ほど過ごして生まれますが、生まれてすぐは自分の周りは知らない人やものばかりで、何を信じていいのかわからない状態、つまり「I am not OK ,You are not OK」の状態です。その後、母親からおっぱいをもらったり、泣いてもウンチしても何をしてもすべてを受け入れてもらうことで、「人は信じていいんだ」ということを学び、「I am not OK ,You are OK」に移行します。そして、自分の力で立ち上がったり言葉を喋ったりすることで「自分は信じられる」ということを学び、「I am OK ,You are OK」へと移行していくのです。

その後も母親以外の多くの人に接することで人を信じることをさらに学び、大人になるまでに「You are OK」が確立していきます。また、学校でテストを受けたり、 遊びの中でさまざまな体験を積み重ねることによって自分を信じることを学んでいき、大人になるまでに「I am OK」が確立するのです。このようなプロセスが何の問題もなく進んで成長していけば、自分も他人も信じられる「I am OK ,You are OK」という態度の人間が出来上がるはずなのですが、そうはうまくいかないよう です。

幼い頃に虐待を受けて親からの愛がもらえなかったり、両親の不仲、学校の先生の生徒への無関心などを体験してしまうと、「人を信じていいのだろうか」という疑問が生じます。また、厳しい受験戦争の中で親や先生から「他人を蹴落としてでも自分でいい成績を出せ!」という教育を受ければ、他人への配慮に欠ける人間になってしまい、他人を見下したり、自分の正当性ばかりを主張したり、他人を攻撃し たりするようになり、結果的に「I am OK ,You are not OK」という態度になります。

逆に、親から過剰に「他人の目や世間体を気にしなさい」と教えられたり、受験で失敗して親や先生から「あなたは何をやってもダメね」と言われたりすることで自信をなくしてしまうと、劣等感に悩んだり、他人に依存する消極的な行動をしたり、自分を犠牲にしてまで他人につくすような「I am not OK ,You are OK」という態度になってしまうのです。

最近では、人から十分な愛を受け、自分に自信を持って成長してきた「I am OK ,You are OK」というこころの態度を持った人が「I am OK ,You are not OK」と いう態度の人から学校でいじめを受けたり、職場でハラスメントを受けたりすることが増えています。いじめやハラスメントを受けてしまうと人を信じることができなくなり、「I am OK ,You are not OK」という態度に移行してしまい、最悪の場合は自分自身も信じられなくなり、「I am not OK ,You are not OK」に陥ってしまい、「誰も信じられない」という絶望感から自殺にいたってしまうのです。

私はこれからの学校教育や家庭教育には他人が自分と違っていても認め、尊重し、自分も他人も信頼し、誰とでも共存共栄できる「I am OK ,You are OK」というこころの態度を持つ人間を育てることが必要だと思っています。いじめやハラスメント、そして自殺を根絶するためにも、子供の教育に関わる方は早急な検討をお願いしたいと思います(終)。

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