安全JAWSちゃんのハートLetter
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レジリエンス

今年も残すところあと一か月になりましたが、この時期になると気になるのが「今年の流行語」です。毎年発表される「ユーキャン新語・流行語大賞」の今年のノミネート候補ワードを見ると、「ダメよ〜、ダメダメ」、「危険ドラッ
グ」、「ありのままで」など、いずれも今年話題となった言葉が挙がっていま
す。

私が今年の候補ワードで注目しているのが「勝てない相手はもういない」です。この言葉は、9月に行われたテニスの全米オープンで錦織圭選手がベスト4進出時の記者会見で「勝てない相手はもういないと思う」と言った言葉から来ています。また、今年行なわれた試合後のインタビューで、錦織選手が「セットを落としたことを忘れて、次のセットの第一ゲームに集中した」や「僕は第5セットまで戦うのは好きじゃないけど自信がある」などという言葉も印象に残っている人も多いでしょう。さらに、彼は11月に行われた今年を振り返る記者会見で「テニスで勝ってランクを上げていくためには、自分を追い込んでメンタル的に強くなっていかなければいけない」というような発言をしています。
錦織選手は、逆境に追い込まれてもそれをポジティブにとらえ、それを言葉にしながら楽しむ能力に優れているようです。

ちなみに、私の中での今年の新語・流行語大賞は「レジリエンス」という言葉です。今年は、私たちメンタルヘルスの業界でこの「レジリエンス」という言葉が大変注目されました。この言葉は、今年4月に放送されたNHKクローズアップ現代でも紹介されました。レジリエンスとは、一般的に「復元力、回復力、弾力」などと訳される言葉で、困難な状況や逆境の中においてもしなやかに適応し、生き延びる能力のことで、この「レジリエンス」が高い人は社会や企業で活躍できるのではないかといわれています。まさに、錦織圭選手がこのレジリエンスの高い人なのです。

また、レジリエンスは個人だけでなく組織が成長していくためにも重要で、レ
ジリエンスを高めることでメンタルヘルスの改善や生産性向上などの効果につながるということで、研修など企業の教育活動としても注目されています。企業のメンタルヘルス対策としては「心の病の予防」という後ろ向きな対策ではなく、健康な人を扱う「ポジティブ心理学」の手法を取り入れた「人材の活性化」という観点でこのレジリエンスを取り入れる企業が増えています。

思えば、2013年の新語・流行語大賞の受賞ワードにも、ビジネスでのピン
チを乗り越えてチャンスに変えていった半沢直樹の「倍返し」、一度は体調不良で辞職したが再び返り咲いた安倍晋三首相の「アベノミクス」、東日本大震災という逆境からの復興はもとより、日本シリーズ第7戦という逆境で野球の底力を見せて見事日本一を勝ち取った東北楽天イーグルスの「被災地が、 東北が、日本がひとつになった 楽天、日本一をありがとう」という言葉がありました。来年は、もしかしたらレジリエンスという言葉か大流行する年になるかもしれませんね(終)。

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