安全JAWSちゃんのハートLetter
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色が持つパワー

今回は「色が持つパワー」とその効用についてお話します。

 

私たちが服を選ぶ時、冬の寒い時期の服は暖色系を、夏の服は寒色系を選ぶ傾向があります。暖色系は見た目が暖かく、寒色系は涼しく感じるからです。しかし、色の情報は目(視覚)から入って視神経を通って脳へと伝えられるのがほとんどですが、それは100%ではありません。実は、私たちは皮膚(触覚)からも色の情報を取り入れています。

 

東洋大学の野村順一教授(故人)が行った有名な実験があります。被験者に目かくしをして、「赤い部屋」と「青い部屋」に順番に入ってもらいました。赤い部屋は机や椅子はもちろん、壁や床、カーテンまですべて赤で統一されています。逆に、青の部屋はすべて青で統一されています。すると、目が見えない状態であるにもかかわらず、赤い部屋に入ると心拍数は増加し、血液・体温とも上昇して、青い部屋に入ると心拍数は減少し、血圧・体温とも下がるという結果になりました。

 

このような色の効用を会議室で活用している会社があります。「日本オラクル」という会社には「赤い部屋」「青い部屋」とよばれる2つの会議室が設けられています。赤の部屋はお互いに自由にアイデアを出し合い、活発に意見交換をする会議に使います。何を話してもこの会議室では決して社長から叱られません。

逆に、青の部屋では慎重さや冷静さが求められる予算の決定や営業反省会など、非常にシビアな会議が開かれます。数字をはさんで理詰めの話し合いが行われ、社長が大声で怒鳴ることもめずらしくありません。赤い部屋は人の交感神経に作用して、精神を興奮させたり楽しい気持ちにさせたりする一方で、青い部屋は人の副交感神経に作用し、精神を沈静化させる働きをしているのです。

 

赤の色が人を興奮させ、それが瞬発力をアップさせるという効用によって、スポーツ界では今まで多くのイメージカラーに赤が使われてきましたが、一方で人が興奮しすぎてミスが増えるというデメリットがあることがわかってきたため、最近では人を冷静にさせて集中しやすいカラーである青い色が多く使われ始めています。たとえば、陸上競技において今まではトラックの色は赤が当たり前でしたが、最近は青いトラックの陸上競技場が多く建設されています。プロ野球でも、ピッチャーの集中力を高めてストライクの率が上がるようにキャッチャーのミットにも青いものを使うことがあるなど、さまざまな場面で色の効用が考えられています。

 

また最近、JR山手線の各駅で電車が進入してくるホームの端の天井部に青い照明灯が設置されています。これは自殺しようとする人が青い光を浴びることで、精神状態が落ち着き自殺防止の効果があるということで取り付けられているようです。その他にも、線路の踏切に青い照明を当てるなど、青い色が日本の自殺対策に一役買っています。少し寒いかもしれませんが、みなさんもこの時期に青い

服を着てみてはいかがでしょうか。きっと仕事で冷静な判断ができるようになり、ミスが減る効果が出てくるとともに、世の中の自殺を減らす効果もあるかもしれ

ませんよ。(終)

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