安全JAWSちゃんのハートLetter
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嫉妬心

スポーツの世界では自分の能力を引き上げるために「ライバル」の存在が大き

な役割をします。ライバルと競い合うことによって「闘争心」というプラスの感情が働き、お互いの能力を高めることができます。また、ライバルはスポー ツの世界だけでなく、仕事や生活など人生においてもいい影響を与えます。しかし、ライバルが存在することはいい影響だけではありません。ライバルができると、相手に対する「嫉妬心」というマイナスの感情も生まれるのです。今回はこの「嫉妬心」についてお話します。

 

上杉さん夫婦は結婚して3年。なかなか子宝に恵まれませんでしたが、ようやく待望の赤ちゃんが生まれました。生まれたのは男の子で「和也」と命名しました。上杉家の跡取りとして男の子が生まれることを希望していたこともあり、両親はたいそう和也君をかわいがりました。こうして和也君は両親の愛をいっぱい受けて幸せに育っていきました。そして2年後、上杉さん夫婦に二人目の子どもが生まれした。二人目も男の子が生まれ、「達也」と命名しました。

両親は和也君と同様に達也君もかわいがりました。しかし、和也君からしてみればそれが気に入りません。今までは自分だけが親の愛を独り占めできたのに、達也君のせいで親を奪われたような気持ちになりました。和也君には、生まれて初めて「嫉妬心」が生まれたのです。そして、和也君が達也君を嫉妬する気持ちはどんどん膨らんでいき、とうとう和也君は「達也さえいなければ」と達也君を殺す計画を立てました。そしてある日の夜、和也君は母親が寝静まったのを確認して、こっそりと母親の乳首に毒を塗りました。達也君を毒殺しようとしたのです。すると次の日の朝・・・父親が亡くなっていたのでした。

 

「嫉妬」という言葉は妬み(ねたみ)、嫉み(そねみ)、やきもち、などと言い換えられる感情で、自分が持っていない「もの」や「能力」を他人が持っている場合などに発生します。英語ではジェラシー(Jealousy)と訳されます。

ちなみに、食べる焼餅は「焼く」ですが、ここでいうやきもちは「妬(や)く」になります。嫉妬心は「自分より絶対的に優れている」と自覚している相手からは生まれません。また、嫉妬心は自分と相手の二人だけでは発生せず、必ず相手以外の第三者が存在することにより発生します。「自分とはほとんど違わない」と感じてる相手が「第三者に自分より評価されている」と感じるときに発生するものです。

 

そのときに、第三者からの評価を得るために冷静な視点で自分の中に原因を見つけて、評価を得るための目標を立て、その目標に向けて努力していけば「闘争心」というプラスの感情が発生するのですが、原因を相手や第三者に求めてしまうと「嫉妬心」というマイナスの感情に変わっていくのです。そして、矛先となった嫉妬する相手や評価をする第三者と喧嘩や口論になったり、果ては傷害事件や殺人事件にまで発展していくのです。

 

さて、嫉妬心を起こさないための予防法ですが、

 

1.まずは自分を他人と比較しない

嫉妬する人は必ずと言っていいほど「モノサシ」を持ち歩いています。何かあるごとに自分と他人をそのモノサシで比較します。嫉妬しない人はモノサシを自分のこころの中に仕舞っています。「人は人、自分は自分」と考え、自分の成長を測るモノサシだけを持ちましょう。

 

2.自分に欠けているものや能力を認識する

嫉妬を感じたポイントを冷静に分析し、「相手に対して自分のどこが劣っているのか」を明確にして、自分の欠けているものや能力をどうやってカバーしていくかを考える。自分を認めることができれば嫉妬心は発生しないでしょう。

 

3.相手から学ぶ気持ちを持つ

嫉妬を感じた相手に意識的に近づくのも一案です。その相手から自分が劣っている能力を盗むことができるかもしれません。また、相手とコミュニケーションをとることで、相手に抱いていた劣等感(コンプレックス)も自然と払拭されるでしょう。

 

これらが自分のこころの中で実行できれば、嫉妬心は「闘争心」や「向上心」

に切り替わり、ポジティブな考え方や行動につながっていくでしょう。(終)

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