安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
デジタルデトックス

近年、スマホなどによるゲームのやり過ぎで日常の生活や人間関係、そして健康に影響を及ぼすという事例が報告されています。たとえば、スマホを見るときに頭が前に出る姿勢が原因で、首や肩の痛みやしびれが起こる「ストレートネック(スマホ首)」といわれる症状などがあります。これが悪化す
ると、頭痛や吐き気まで起こることもあるそうです。

ゲームやインターネットなどの長時間の使用は睡眠時間の減少や体調不良をひき起こすだけでなく、仕事の効率を低下させたり、人間関係にも支障をきたすことにつながります。2019年にWHO(世界保健機関)はゲームの
やり過ぎなどで日常生活に支障をきたすゲーム依存症を「ゲーム障害(イン
ターネットゲーム障害)」という病気として認定し、精神疾患として位置づ けました。ゲーム障害はゲームやネットなどのやり過ぎを自分でコントロールできない状態です。これにより、体の症状や不登校や家庭内暴力などの問
題が起きている場合にゲーム障害と判断するそうです。

厚生労働省研究班の2013年の推計では、ゲームやネットに没頭する「ネ
ット依存」の恐れのある人が成人で約421万人、中高生で約52万人でし
た。みなさんの中にも、常にメールやLINEが来ていないか気になってしまうとか、手持ち無沙汰な時間があるとすぐにスマホをいじってしまうということに身に覚えがある人は多いのではないでしょうか。そんな「ゲーム障害予備軍」の人にお勧めなのが「デジタルデトックス」です。

デジタルデトックスとは、スマホやパソコンなどのデジタル機器から一定期
間離れることで、日常で心身にたまったストレスや疲労を取り去ることを意
味します。長時間スマホやパソコンに向かい、家でも休日でも仕事のオンと
オフを切り替えない生活を続けている現代人にとって、デジタルデトックス
は密着し過ぎていたスマホやパソコンから離れ、本来の人間の身体に合った過ごし方をすることで、心身を正常な状態に戻す効果が期待できます。

ただ、デジタルデトックスはスマホやパソコンなどの使用を完全に断ち切る
のではなく、一定期間だけデジタルと離れることで、「自分がゲームやネッ
トで日頃いかに疲れていたか」に気づき、より健全なスマホやパソコンとの
付き合い方を目指すことが目的です。ゲームをしたり、ネットを利用するこ
とは決して悪いことではありません。好きなゲームを楽しんだり、ネットを利用することで自分の欲しい情報を集めたり、スマホを使ってメールやLINEで家族や友人に連絡したりすることは大切で、それにより自分の欲求を満たしたり、ストレスの解消になることも多いと思います。またスマホやパソコンがあれば、行きたい場所を調べるのに地図を買わなくてもいいし、行きたい店の電話番号をNTTに電話して聞く手間が省けるし、漢字の読み方や言葉の意味が分からないときに辞書や百科辞典で調べたりする必要はない
ですよね。それとも、スマホやパソコンが無い生活の戻ったほうが快適でし
ょうか。

つまり、スマホやパソコン自身が悪いのではなく、スマホやパソコンの便利
さや楽しさによって自分のこころが麻痺して、スマホやパソコンに依存しす
ぎていることに気づいていないことがいけないのです。デジタルデトックスを試すことでスマホやパソコンから離れてみて、「普段より眠ることができる」、「身体の調子がいつもよりいい」などの変化が起きた場合、日頃スマホやパソコンを使用することで、いかに自分が疲れていたかに気づくきっかけになるのです。

さあ、デジタルデトックスをやってみましょう。「週末の2日間はスマホやパソコンを使わずに生活する」というのもいいですが、もっと簡単に「電車に乗っているときはスマホを使わない」や「人と待ち合わせをしているときはスマホを見ずに周りの人を観察する」だけでもいいと思います。そして、スマホやパソコンから離れたときに考えてみましょう。「スマホやパソコンを使用しすぎることによって自分の頭脳が支配され、自分が持っているいろいろな能力がどんどん退化していくのではないか」、「自分の仕事や生活の忙しさは余暇時間にスマホやパソコンを使っていること、ネットで必要のない情報収集をしていることが原因ではないか」、「ネットの情報や広告を見れば見るほど、閲覧履歴や使用状況の統計データが企業のマーケティングに利用されているのではないか」と。きっと何か新しい発見や気づきがあって、スマホやパソコンとの付き合い方も変わってくると思いますよ(終)。



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